証券会社は、従来型の対面取引を行う会社と、ネット証券の2種類に分けられます。いずれも新たに口座を開設したり、信用取引や先物取引を行う際は審査を受ける必要があります。ただし、証券会社の審査はクレジットカードやカードローンを利用する場合とは異なります。
証券会社にとって困る客とは、インサイダー取引などの違法行為を行うことと、信用取引で証券会社に損失が発生した際に追納金を支払わない行為です。他にも、きちんとリスクについてを理解せずに証券会社の証券マンに勧められて行った投資で大きな損失が生じてしまうようなケースもあります。投資家に対してきちんとリスクを説明せずにハイリスクの投資商品を勧めた証券会社が、投資家の損失を補てんすることを命じる判決が裁判所から下された実例があります。
証券会社は顧客とのトラブルを未然に防止する目的で、必ず口座開設時に一定の審査を行い、顧客の属性、投資経験や知識、過去に行った信用取引におけるトラブルの有無などのチェックが行われます。会社の内部情報を知りうる立場の人であれば、インサイダー取引防止のために勤務先の会社の株取引が制限される場合があります。上場企業の財務部長クラス以上の人物であれば、その会社の株を購入することができません。
信用取引や先物取引の申込手続きであれば、証券取引の経験が浅い顧客にはリスクが大きい信用取引や先物取引のアカウントを開設してもらえないケースがあります。
一般的にネット証券会社では証券会社の担当者が直接顧客に特定の投資商品を勧めることはないため、対面取引を行う証券会社よりも審査が緩い傾向があります。ネット証券会社で現物取引用の口座を開設する場合であれば、大抵は投資経験の有無や投資可能金額、勤務先などの情報をインターネット上で入力するだけで済みます。暴力団関係者などの特別な事情がない限り、年齢や国籍などの条件を満たしている人であれば現物取引用の口座開設を断られることはありません。
ネット証券会社であっても、信用取引・先物取引口座を開設する場合には、確認の電話が来る場合があります。NISA口座開設を申し込んだ際も、一定の審査が行われます。NISA口座は1人に付き1口座と決められているため、他の金融機関で同一人物名義でNISA口座が開設されいないことを確認する必要があるためです。
ネット証券会社でも信用取引・先物取引口座・NISA口座の開設を申し込んだ場合には、口座が開設されるまで時間がかかる場合があります。