IPOは日本語で新規公開株といい、上場する前に株を投資家に売り出すことをいいます。新規公開株の公募価格は上場日にはじめて付く株価である初値の方が高くなりやすく、人気ある銘柄であれば公募価格の2倍以上になることもよくあります。
理由としては初値が公募価格より高くなるようにしなければ、新規公開株を購入したい投資家がいなくなってしまうからです。幹事となる証券会社は上場する企業に十分な資金が入るようにしながら、新規公開株の売出株数を増やしすぎず、公募価格を低く抑えたりします。大口の株保有者には株価や期間に制限を設け、その条件を満たさないと売却することができないロックアップをすることで上場日に売り注文を少なくして、初値が公募価格より高くなるようにします。
新規公開株は初値が公募価格より安くなる公募割れのリスクが少なく、短期間で大きな利益を得る機会があるため投資家に人気があります。しかし、人気があるため、新規公開株を申し込んでも当選する確率はかなり低くいといえますが、申し込みで手数料がかかるわけではないので、複数の証券会社から申し込むことで当選確率を上げようとする投資家もいます。
どの証券会社でも新規公開株の申し込みができるわけではありません。上場する企業の幹事を担う証券会社だけが新規公開株が割り当てられるため、幹事に積極的でない証券会社は新規公開株の申し込みが少なくなります。また、幹事で中心的役割を担う主幹事には新規公開株の割り当てが多く、9割が主幹事の証券会社一社、残りの1割を幹事の証券会社5社で分け合うという極端な割り当ても珍しくありません。
新規公開株の抽選は証券会社によって違いがあり、必ずしも公平に抽選が行われるとは限りませんが、対面証券よりネット証券の方が公平な抽選が行われる傾向が強いといえます。また、大手ネット証券では一人一口の完全な抽選を行ったり、落選することにポイントが付与され、ポイントを使用すると当選する確率が高かくなるなどのサービスを行っています。
上場する企業の主幹事になる証券会社は実績のある大手証券会社が多く、ネット証券は主幹事になるケースが少ない傾向がありましたが、最近では主幹事や幹事に積極的に取り組むネット証券が増えてきて、大手証券会社と新規公開株の取扱数があまり変わらなくなってきています。逆に、ネット証券の中で新規公開株の取扱数に大きな差が出ているといえます。