株取引は証券取引所で決められた時間で取引されます。東京証券取引所では平日9時から11時30分までの前場、12時30分から15時までの後場の時間内で取引ができます。通常取引であれば、その時間内でしか取引できませんが、PTS取引の場合、通常取引時間外でも株取引ができます。PTS取引とは私設取引所取引ともいわれ、証券取引所を介さず、証券会社内で株取引を行います。証券会社内で株取引できることによって、証券取引所の時間帯に関係なく取引ができます。昼の時間帯が長いだけでなく、夜間取引も可能になります。
例えば、大手ネット証券では平日8時20分から16時のデイタイムセクションと18時から23時59分までのナイトタイムセクションの時間帯で株取引ができます。
証券取引所を介さず株取引ができるため、手数料が安いメリットもあります。ただし、その証券会社の証券総合口座数を保有する投資家しかPTS取引ができないため、通常取引と比べて流動性が少ないことと、PTS取引では株取引ができない銘柄もあります。また、PTS取引ができる投資家が少なければ、売買の成立が難しいため、証券総合口座数が多い大手ネット証券でしかPTS取引を行っていません。
PTS取引の魅力といえるのが夜間取引です。証券取引所の取引時間終了後に会社の決算発表、ヨーロッパや北米市場の動向など翌日の日本の株式市場に影響を与えそうなイベントがあります。夜間取引があることで、翌日まで待たずに株取引ができます。
夜間に海外の株式市場の動きから翌日の日本の株価が大きく変動すると予想できても、前日の株価から寄り付きの株価に大きなギャップができる可能性があります。そのギャップ分の利益を得る、もしくは損失を減らすのに夜間取引を利用することができます。
例えば、ある銘柄の株価の終値が1株300円とします。その夜の海外の経済指標が良く株価が上がっているため、翌日の株価が上がりそうだと予想して、夜間取引で1株310円で購入します。翌日、取引開始直後は買い注文が殺到して、1株330円で寄り付けば、1株330円で購入することになりますが、前日に1株310円で購入しているので、寄り付きの時点で1株20円の利益になります。
ただし、翌日の日本の株式市場に影響を与えそうなイベントを確認して売買判断するのは良いですが、必ず予想通りになるとは限らないので、リスクを考えた投資を忘れてはいけません。